CASE STUDY 6
PLACE

愛知県名古屋市

OVERVIEW

工業系企業ビル

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ビルにメタルの表情。

スチールのリン酸処理加工はとても人気がある加飾処理です。現在では比較的ポピュラーな処理になってきていますが、この加飾でも最も重要だと言えるのは品質です。昨今では、弊社にもよくくるお問い合わせのひとつが、リン酸処理後の部材を設置したところ、ものの数ヶ月で白濁したり変色するケースが増えています。これは、リン酸処理後の後工程にいくつかの処理を施していないか、そもそもリン酸的な表現になるだけの別処理であるケースです。納品時に見分けることは難しく、最初から丁寧な品質で工程処理を実施してくれる企業と組む必要があります。 さて、本ケースでは、このリン酸処理を施した部材をビルの壁面全てに貼り付けるというとてつもないチャレンジでした。ビル表面に貼り付ければ、当然風雨に晒される面積は尋常ではありません。さらに、その部材ボリュームも信じられない量になります。一方で、ビル全体の存在感は劇的に高まりますし、表面が金属面となるためビルの強靭さも増します。素材から加飾処理、すべての品質管理にいたるまで、アイチ金属にとっても稀なプロジェクトとなりました。

多彩な金属表情の集合体。

壁面だけではありません。エントランス部分の内装材、入り口の外装として巨大なガラスをはめ込むアイアンフレームもすべてアイチ金属にて加工処理をしています。今回のビルの衣装面において重要な役割を果たす金属処理に関わらせていただけたのは、大変光栄でした。当然責任も重くなります。窓面スチール部分の精度は極めて高いものが要求されました。もちろん、耐震性を考慮した構造計算の上に成り立っている意匠であることから、ガラス面の嵌め込みは非常に重要度が高いことは言うまでもありません。 壁面のリン酸処理による多彩な金属表情に加えて、黒のスチール枠が表情に引き締まりを与えています。スチール枠の処理はマットコーティングですが、こちらも外装になるため塗装剥離などが起きないようさまざまなノウハウを盛り込んだ仕上げとしております。処理後はすべて弊社出荷なので品質保証面でも慎重な検査を実施しました。

意図を汲むということ。

ビルのような案件において、弊社が現場で施工するということは少ないです。特に外壁になればどうしても難しくなります。しかしながら、施工をイメージした加工考案は可能です。それは、設計から施工までをイメージして意図を汲むということです。こうした部分を弊社はとても大切なことだと考えています。しかし一方でこれは常に難しく、時には完璧に実現することは困難です。 コミュニケーションが欠かせません。どのように施工するのか、仕上がりはどうか、どのくらいの期間を想定した建築物なのか、耐震性や堅牢性はどのようなレベルなのか。こうしたすべてに関して、弊社がコミットできるのはごくわずかですが、プロジェクト全体を理解する上で加工できるかどうかはこうしたコミュニケーションにすべてがかかっています。良好な関係を構築できるよう努力することはもちろんですが、我々が考えていることを恐れずに伝達していくことでポジションをはっきりさせていくことも重要です。私たちにとっての金属加工とは、そのようなものなのです。