CASE STUDY 43
PLACE

東京

OVERVIEW

案件事例

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箱型段板と支えるメタル

箱型階段とは

箱型階段をご存知でしょうか。ここ数年で、かなり増えてきた印象を持っています。階段には無数の施工方法がありますが、概ね、構造体として段部分を下支えするために強度の高い金属を用い、手すり部分でいくつかの手法があるといった感じに大別されているように思います。特にテス入り部分は意匠性に大きな影響を与えます。 ガラス面を使う、金属や木材の手すりにするなど、千差万別ある方法論の中でも、特にガラス面を用いる場合は、段板をガラスで挟み込むように設置し固定させるのが一般的です。箱型段板とは、この段板部分がただの板ではなく箱になっているタイプのことを指します。したがって、ガラス面から少し段板が飛び出す部分も、箱型になりユニークな印象を実現できるのが特徴です。

見えないメタルで支える

箱型になると、箱部分の存在感が大きくなります。ここが、木材でできていれば、文字通り木の箱が整然と並びボリューム感のある印象を作り出すことができます。逆に、構造部分を隠すことができるため、インパクトがありながらも箱部分の質感を強調できるのです。 逆に言えば、見えない部分をしっかり作り込んでおかなければ、後々の調整が難しいことを意味します。そもそも、箱型段板も通常の段板も構造体としての強度に違いはありません。頑丈で丈夫な鋼材で階段を組み上げながら階段を作り上げていきます。通常段板との違いは施工時にあります。箱型の場合は、より多くの構造材が隠れるため設置後の最終検査時に課題が見つかった時の対処が難しくなります。したがって、箱型階段の場合はより注意しながらの施工作業が重要です。

天然銘木意匠の美しさと質感ある踏板・蹴込み

それでもなお、木材の箱型段板の木目や意匠の美しさ、質感のある踏板、蹴込みなどは、やはり格別です。通常の段板だけと比較して、組み上げ工程の難易度が高く設置には時間を要しますが、階段としてのユニークネスは際立っています。組み合わせる材料次第では、より多様性に富んだ表情を実現することもできます。 箱型段板には大きな可能性があります。まだまだ、さまざまな進化を遂げていくだろうと私たちは考えています。たとえば石材や金属材なんかでもユニークな組み合わせが可能になるでしょう。安全性、信頼性への蓄積をしっかりと継続しつつ、こうした、新しい表情と意味を備えている部材やデザイン機能に対しても、しっかり感度を高めて研鑽を積み上げていければと思っております。