CASE STUDY 26
PLACE

アイチ金属

OVERVIEW

案件事例

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オフィスの顔を作るメタル。

オフィスは大小に関わらず法人の顔として機能します。弊社に来る案件の場合、主に大規模なオフィスの場合は基本的には内装部材要件が多くなります。受付周りの金属部材や、オフィス内壁などの比較的大きなサイジングの部材依頼です。最近では、社内階段や手すりなど、多様なデザインに応える部材も増えてきました。中小規模のオフィスの場合は、より多様です。外壁もあれば、階段、家具にいたるまで、弊社が提供させていただくケースもあります。 住宅との大きな違いは耐久性です。むろん、住宅に求められるものも高度ですが、オフィスの場合は触れる人の数が段違いに多くなることからの要件ですね。今回の案件は、こだわり抜かれた一棟建てのオフィス。手がけた製品は、外壁、扉、インターホンパネル、階段と、外装/内装の双方に及びます。特に外装に関しては、リン酸処理加工による表情作りがオーダーであったことから、風雨に耐えながらも長く良質な状態を保てるような手法の確立に注力しました。

“表現すべきもの”と品質

1つの物件で複数の重要なアイテムを手がける場合、重要なのは「統一感」をどのように担保するかとなります。今回用いたのは実に複合的な技術です。曲げ、組み、塗装、リン酸処理など、数えればキリがありませんが、一つずつには重要な品質コントロールがあります。指標となるのが、物件として”表現すべきもの”です。建築家との意思共有の中で生まれた理解に基づき、少しずつチューニングしながら異なる技術を使いながらも、統一的な品質コントロールを行います。 例えば色味。仕上がりの色味だけを統一させることはもちろん可能ですが、たとえば経年変化を考慮したときに、工程内での大きな差が生じると最終的に物件として年数を重ねたときにトラブルが生じやすくなります。もちろん、金属の加飾処理は経年変化はその場所、その時代によって大きく異なるため、すべてを計算することは難しく、メンテナンスが複数回生じるものではあります。それでも、製作段階で、私たちがそこまで考慮しながら工程を重ねることには大きな意味があると考えています。

仕上がりはすべての調和。

建築物の仕上がりにおいて、我々一部の部材しか供給しない企業の責任は軽いのかと言われればそうではありません。結局は、部材ひとつひとつの調和が重要だからです。建築物というのは緻密な計算と、仕上がりの積み上げによってできあがる、ひとつの究極のクリエイションであると私たちは考えています。メンテナンスの考え方も重要です。完成後であっても、わたしたちが手がけた部材に何らかの気になる変化があれば、すぐに現場にて確認することを重視しています。完成後の変化によって、工程品質の見直しに通ずることがあるからです。 部材とは言えども、特に建造物の表面に登場するアイテムは、全体の意志を決定する重要な役割を担っています。部材の向こう側に見える建物の完成系をイメージしながら、工程と向き合えるか。そして、わたしたちの品質ともいうべきものは何か。特に今回のオフィスのように、さまざまなお客様を迎え入れる建築物ならではの個性を考慮することで、わたしたちの思考もまた深まっていくのです。