CASE STUDY 51
PLACE

愛知

OVERVIEW

技術事例

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錆を整える

屈指の人気を誇る錆

黒皮と同じく屈指の人気を誇り、海外ではポピュラーな意匠の「錆」。「大壁を錆で仕上げたい」「インテリアとして錆意匠にしたい」などお施主様やデザイナーの方からのご要望を頂く事もあり、近年国内でもポピュラーになりつつある「錆」。人気ある錆意匠には表現の可能性が広がります。 2022年末に、アイチ金属にミーティングルーム、撮影スタジオを併設したショールームが完成しました。ここに、巨大な鉄錆のウォールを作り上げ、圧倒的な存在感を演出しています。同時に、この壁は弊社の実験でもあります。これだけ大きなものになると、基材となるもの次第でどのような変化や劣化があるのか、表面的にも内面的にも検証することができます。

錆補修

実際、設置して2ヶ月ほどたってから、太陽の日差しや気温の変化による熱膨張により壁に亀裂が生じました。構造は木材、そこにセラミックボードで処理し、表面にVeroMetalを塗布し処理したものの、セラミックボードが外的環境に耐えられずゆがみ、表面に亀裂が走ったのが原因でした。VeroMetalコーティングでは、強度付加にはならないことから最大の難関でした。 表面処理だけではどうにもならないため、基材の扱いを変え、組み合わせなどを再検討し、最終的に独自材料開発により対応を完了。この方法論であれば、さまざまなユーザー様に納品物として提供可能であるというものに昇華することができました。

自然の錆色を目指して、錆を整える

VeroMetalや溶射によるコーティングは、研磨と科学的加飾により錆出しを行いますが、その後は設置環境における独自の経年変化を愉しんで頂けます。VeroMetal鉄錆は弊社独自の加飾剤そして、水を散布することで橙色の錆が鉄表面を覆います。一度加飾剤で加飾していることで水や空気に触れることで錆が進みます。最初の錆出しは人の手によって表面処理を行いますが、あとは雨風に晒されて経年変化により自然の錆色に落ち着きます。 雨風にさらされることで、表面にはさまざまな表情が生まれます。しかし、塗装が剥がれているのとは異なります。鉄が反応していくのです。その反応は、日を追うごとに変化します。最終的にどこへ辿り着くのかは環境次第。こうして唯一無二の錆壁となっていくのです。